顔の特徴から個人を特定する顔認識カメラの画像データについて、国の個人情報保護委員会(個情委)は規制を強化する方針を固めた。現在は主にデータの利用目的の公表義務にとどまるが、データの保存期間の明示などを求める案を検討する。
顔認識データについて、個人情報保護法は氏名や生年月日などと同様、取得時の本人同意は不要としている。利用目的の公表義務は定めているが、詳細なルールは同法のガイドラインに関する説明文で、顔認識データの利用目的や問い合わせ先の明示がカメラの設置場所に必要との見解を示しているだけだ。
だが、顔認識カメラは民間事業者による利用が広がっている。JR東日本は、個情委に相談した上で駅構内に設置して刑務所からの出所者らを検知しようとした。だが「社会的合意が得られていない」として9月に当面の取りやめを発表するなど混乱も生じていた。
こうした事態を受けて、個情委は規制の強化が必要と判断した。取得したデータの保存期間の明示のほか、データの廃棄方法の公表や、取得目的をより分かりやすく示すよう求めることなどを検討する。
駅や空港、ショッピングモールなどの公共空間で民間事業者が顔認識カメラを使う際のルールを想定している。
22日に会合を開いてプライバシー権に詳しい憲法学者や弁護士らでつくる有識者会議を設け、来夏までにルールの詳細な案をまとめてもらう。
個人情報保護法は、病歴や犯罪歴、信条などについて、取得する際に本人同意を必要とする「要配慮個人情報」と定めている。顔認識データの取得時の「本人同意」については、一律に義務化すれば、防犯目的でのカメラの利用が難しくなるため、慎重に検討する。(赤田康和)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル