10月の衆院選で、候補者の後援会への入会を部下を通じて勧誘したとして、山口県警は23日、県の小松一彦副知事(65)と、ともに山口市職員で阿東総合支所の福永卓(たかし)総合支所長(60)、鶴岡泰広副総合支所長(58)の2人を公職選挙法違反(公務員の地位利用)の疑いで山口地検に書類送検した。
捜査関係者によると、候補者は衆院山口3区(山口県萩、宇部、山陽小野田、美祢市と阿武町、山口市の一部)で当選した自民党の林芳正・現外相。阿東総合支所は山口3区の選挙区内にある。県警は、過去の国政選挙などでも同様の勧誘が慣例的に行われていたとみている。
県警によると、3人はいずれも容疑を認め「過去にも同じようなことがあったので今回もやった」などと供述しているという。
小松副知事の書類送検容疑は、4月下旬~5月上旬、県の部次長級職員5人を通じて、県内の衆院小選挙区から立候補した候補者の後援会に入会するよう職員数十人を勧誘したというもの。ほか2人は10月上旬~中旬、部下の課長級以下の職員4人を通じて、ほかの職員やその家族など約20人を勧誘したというもの。
小松副知事は副知事室に5人を呼び、後援会の入会申込書が入ったリーフレットをそれぞれ数十枚から数百枚渡した。5人は勤務時間中に職員にリーフレットを手渡し、後援会への入会を勧誘していた。県警は「候補者や後援会は事件に直接関与していない」と説明している。この時期、山口3区では、林氏の参院から衆院へのくら替えを巡り、現職との激しい前哨戦が展開されていた。
小松副知事は1979年入庁。健康福祉部長などを経て昨年4月から現職。小松副知事は23日、報道陣の取材に「県民の皆様にご心配をおかけしていることを大変申し訳ないと思っている」と話し、違法性の認識や勧誘するよう依頼してきた人物がいるかについては「答えられない」と繰り返した。
県警は県と市の職員100人超から任意で事情を聴き、公務員が地位を利用して特定の候補の後援団体に勧誘したり、勧誘させたりする行為を禁じた公選法に違反する疑いがあると判断した。
書類送検を受け、村岡嗣政知事は県庁で報道陣の取材に応じ、「県政への信頼を損なうような事態になっていることに対し、県民の皆様におわびを申し上げたい。副知事自身の考えも踏まえ、今後の進展に応じてしかるべき対応を取ってまいりたい」と話した。(前田健汰、寺島笑花)
「過去の選挙も含め、職員への勧誘行為が半ば慣例的に行われ、今回のことが起きた」。県警捜査2課の幹部は23日、取材に対してこう強調した。
県警や県関係者によると、1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル