月の電気代が170円を記録した5アンペア生活を突き詰めているとき、「なぜそこまで極端なことをするのですか」とよく聞かれた。「そんなに極端だとは思わないんですよ。だって誰でもできますから」と僕は本心で答えるのだが、多くの人は「そうはいかないんだよなあ」という感じで、苦い笑いを浮かべている。仕方ないからこう付け加えると、だいたいの人は納得してくれた。
「やりすぎると、やりすぎなければ絶対に見ることのできなかった新たな世界に到達することができるんです」「そうでしょうね」。そうなんです。
政府が2050年を目標に定めた脱炭素社会でも、国連が目標を掲げるSDGsでも、国や国際組織や超人的なひとりのヒーローがいつか知らぬ間に問題を解決してくれるわけではない。それぞれの人ができることをやって、一歩一歩目標に近づいていくというのが僕の考えだ。
SDGsもカーボンニュートラルもじぶんごと。誰もが当たり前に使っている電力会社の電気やガス、灯油といったライフラインを自ら断って、太陽光、太陽熱、薪の再生可能エネルギーで暮らしを成り立たせたい。節電道に踏み入ってもうすぐ10年の記者が八ケ岳南麓で真剣に、楽しく、時にちょっと苦しみながら挑戦するエコハウス「ほくほく」プロジェクトの話です。
工事で使う電気 再エネ100%を実現
八ケ岳南麓(なんろく)では…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル