受験する君へ 東大王・紀野紗良さん
バレエなどの習い事をしていて、勉強のためにまとまった時間を取ることができませんでした。勉強も嫌いではないけど、習い事は続けたい。そう思い、少ない時間の中でどう効率よく勉強するかを工夫し、人よりもなるべく「すきま時間」を見つけるようにしていました。
私は、特別な才能があるわけではなく、記憶力は悪い方だと思っています。小学校の時には、弟とトランプの「神経衰弱」をした時には負けていたくらいです。結果を出すのに時間がかかるため、反復が必要だと感じていました。
〈きの・さら〉2000年北海道生まれ。18年、立命館慶祥高校を卒業し、現役で東大理科2類に入学。TBS系のクイズ番組「東大王」に出演中。自身の勉強法をまとめた著書「勉強『しなきゃ』が『したい』に変わる成績が上がる学びの習慣」(KADOKAWA)を出した。
お風呂、トイレなどでは「ながら勉強」を心がけました。トイレの壁には百人一首など暗記したいものを貼り、覚えたら次のものに張り替える。お風呂の時には、プリントをクリアファイルに入れ、まわりをテープで止めて水が入らないように準備。片手でファイル、もう片方の手で髪の毛を洗っていました。シャワーの限られた時間でプリントの内容を覚えようというチャレンジを自らに課していました。
通学の時間は、単語帳を開いたり小さく折ったプリントを読んだりして、貴重な時間を覚えることに費やしました。バレエのウォーミングアップの時間にも、ノートを広げながらストレッチしていました。
ノートの取り方も工夫しました。授業で聞いた先生の話や板書だけでなく、自分で考えついたこと、覚えたいことを書き込みます。「自分用の参考書」をつくる感覚です。覚えたい項目ごとに色分けし、一連の作業を50分の授業時間で済ませるよう心がけていました。後でゆっくり勉強し直す時間がなかったため、授業の時間を大切にしていました。
休み時間も貴重な予習、復習の時間です。10分間の休み時間にぱらぱらと教科書をめくって、次の授業にはどんなことを学ぶのかを頭に入れました。また、終えられなかったノートの書き写しをしたり、宿題を済ませたりすることもありました。こうして、平日の学校の時間を有効活用していました。
勉強のために、アプリも利用していました。画面に出た英単語の意味を、表示された四つの日本語の中から選んでタップするというアプリです。クイズ感覚で英単語を覚えることができました。また、勉強時間を計って管理するアプリも使っていました。
東京大学を目指すようになったのは、高1の終わりから高2の初めごろです。東京で開かれた選抜制の春季講習に参加しました。予備校の有名な講師たちが指導してくれる場でした。毎日、現役の東大生10人ほどと交流する機会があり、お話が魅力的で面白そうだなと思ったのがきっかけです。
東大の特徴として、1、2年生では文系、理系問わず幅広く教養を学べるのが魅力的だと思いました。ただ、北海道の高校に通っていたため、東大を受験するとなると、地方と首都圏での情報格差がありました。私が通っていた中高一貫校では、同じ学年で東大を目指している人は5人程度。参考書の選び方など受験に関する情報は少なかったと思います。ですが、同じ目標をもった同級生たちとは、この参考書がよかったなどと情報交換をしていました。
差を認識することから
校内での競争を意識すると…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル