6434人が亡くなった阪神・淡路大震災は17日、発生から27年を迎える。新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、神戸市中央区の公園「東遊園地」では16日、昨年に続き「密」を避けるため、半日早く灯籠(とうろう)の点灯が始まった。
地震発生時刻の12時間前にあたる午後5時46分。震災を忘れないという意味を込めて「忘」の文字に並べた約2千本(主催者発表)の灯籠に火がともされ、集まった市民や高校生ら数百人が黙禱(もくとう)した。
西宮市の角屋裕佳子さん(33)は4歳になる双子の娘を連れて初めて会場を訪れた。「子どもに震災のことや命の大切さを伝えたかった。身を守る術(すべ)などを教えていきたい」と話した。
今年は、会場となる東遊園地の再整備工事や新型コロナの影響で、灯籠の本数を昨年の半分程度にするなど規模を縮小した。
「市民による追悼行事を考える会」(事務局・神戸市)によると、兵庫県内で民間団体が予定する追悼行事は43件。前年から18件減った昨年と同水準にとどまる。感染拡大を防ぐため、引き続き開催を見合わせた団体が多いとみている。(鈴木春香)
死者6434人、行方不明者3人
阪神・淡路大震災は、1995年1月17日午前5時46分に発生。戦後初の大都市直下型地震だった。震源は兵庫県の淡路島北部で、マグニチュードは7・3。神戸市をはじめ県内の4市と淡路島で、観測史上初めて震度7を記録した。
人的被害は死者6434人、行方不明者3人、負傷者4万3792人。全半壊した住宅は約25万棟にのぼる。その後も国内で甚大な被害をもたらす災害が続発し、「大災害時代」の始まりとも言われた。
防災・復興対策が見直され、さまざまな仕組みがつくられていく契機となった災害でもあった。
発生から1年間で延べ約138万人のボランティアが活動。95年は「ボランティア元年」と言われた。ボランティア活動を後押しする特定非営利活動促進法(NPO法)のほか、耐震改修促進法ができ、国や自治体は住宅の耐震化を進めてきた。住宅再建に支援金を給付する被災者生活再建支援法もこの震災がきっかけで制定された。
17日は地震発生時刻の午前5時46分に、神戸市中央区の公園「東遊園地」をはじめ、各地で黙禱(もくとう)が行われる。(鈴木春香)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル