来年度から6年間にわたる、国から国立大への運営費交付金の配分方法が固まった。国立大学協会は今回、18項目にわたる提言を発表するなどして抵抗したが、大幅な見直しには至らなかった。10兆円規模の大学ファンドの対象大学を選ぶルールとともに、永田恭介会長(筑波大学長)に評価を聞いた。
――今回決まった第4期の運営費交付金の配分ルールについて、全体的な評価を教えてください。
求めていた総額の増加を勝ち取れなかったのは残念だ。ただ、修学支援新制度の対象となっていない大学院生の授業料を免除するための予算を確保するなど、全体で見れば文科省は頑張った。及第点は与えてもいいと思う。
――外部資金の獲得実績などの共通指標で交付金を傾斜配分する仕組みの廃止を強く求めていましたが、存続が決まりました。
傾斜配分枠は2019年度が700億円、20年度が850億円、21年度が1千億円と増え続けていた。制度の廃止には至らなかったが、第4期がスタートする22年度を同額の1千億円に抑えることができた。
共通指標の中身にも、国大協の要望が反映された。教育・研究は成果が出るまでに時間を要する。各大学の改革努力を的確に評価できるように、実績の「高さ」に加え、数字の「伸び率」を見てほしいと求めてきた。今回、研究関連の指標などに導入されることになったことは評価したい。
ただし、文科省は「アウトカム(成果)」重視の指標に見直すと言いながら、数字で示せる「アウトプット」による評価を続けようとしている。「評価が高い論文の数」や「外部資金の獲得実績」といった数字よりも、それらを集めることで見えてくる、各大学による教育・研究力の向上を目指した改革の成果を重視して評価するべきだ。
例えば、高評価の論文を書いた女性研究者の増加といった数字を集め、そうした女性の力を引き出すことにつながった、学内保育園の整備など労働環境の改善の取り組みを評価するといったものだ。
現在は、学部系統ごとの就職率という指標があるが、卒業10年後の仕事内容といったデータを見ないと、大学教育の成果を評価することはできない。こうした「アウトカム指標」を作るように、文科省には改善を求めていきたい。
――国立大を①地域貢献型②特定分野型③世界水準型の3タイプに分類し、各グループの予算の枠内で競争させる仕組みが、5類型に変わりそうです。
①が付属病院の有無で、③が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル