大学院に進学して、2カ月が過ぎたころだった。
関西地方に住む女性は、指導教員である男性助教からのハラスメントに耐えられなくなり、大学院に行けなくなった。
「大学に行けてないし、もう、行くつもりもない」
大学で指導者の男性教員からハラスメントを受けても、女性研究者の多くは我慢している現実があります。勇気を出して大学の相談室に訴えても、立場の弱さもあって、適切な対応が受けられるとは限りません。二重のダメージが彼女たちを傷つけます。
「自分は価値のない人間だ」
実家に電話をかけた。
母親は、以前から娘が助教とうまくいっていないことは聞いていたが、ここまで傷ついていたとは知らなかった。すぐに実家に呼び戻した。
10年近く前のことだ。
女性の父親が思い切って、大学の研究室代表の教授にメールをした。
「突然のメールお許しください。成人した娘の事ですので口を出すまいと思っておりましたが、助教の教員として、いや社会人として常識のない指導のあり方に憤りを感じてメールしました。助教のパワーハラスメントについて親として許せません」
約10日後、父親は相談室を訪れて説明した。
「研究室で助教から『論文がぶさいくである』『研究者でなければ、人間のクズ』などと言われた」
「娘が『反省している』と述べたメールをほかの研究室員らに無断で同送された」
父親の説明は、その後、大学がまとめた相談概要の文書にも記載がある。
初めての研究室、「女か。男の方がよかった」
女性と両親は、助教からの謝…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル