初代宮内庁長官を務めた田島道治(みちじ)氏が昭和24~28年、昭和天皇との詳細な面会内容を書き留めた記録が存在することが19日、明らかになった。記録では、昭和天皇が当時、再軍備と憲法改正の必要性に言及していた一方、国民に対して先の大戦への「悔恨(かいこん)」や「反省」を表明したいとする考えも示していた。先の大戦を回顧しながらも、国の在り方に危機感を抱いていたことがうかがえる。
昭和天皇のこれらの意向の多くは先行する研究で指摘されているが、発言の詳細は貴重な資料の1つとなりそうだ。
田島氏は23年に宮内庁の前身である宮内府長官に就任、24年から28年まで宮内庁長官を務めた。在任中に「拝謁記」と題し、昭和天皇との会話の内容をノートなど計18冊にまとめていた。田島氏の遺族から資料提供を受けたNHKが公表した。
記録によると27年当時、昭和天皇は度々、日本の再軍備や憲法改正に言及。憲法については「他の改正ハ一切ふれずに軍備の点だけ公明正大に堂々と改正してやつた方がいヽ」(27年2月11日)、再軍備に関しても「侵略者のない世の中ニなれば武備ハ入らぬが侵略者が人間社会ニある以上軍隊ハ不得己(やむをえず)必要だ」(同3月11日)などと述べていた。
旧ソ連など共産主義勢力への警戒感をあらわにする発言のほか、28年6月1日の面会では米軍基地反対運動に「現実を忘れた理想論ハ困る」と批判的な見解を示す場面もあった。
一方、記録では27年5月に行われた主権回復を祝う式典でのお言葉について、田島氏と文案を検討する過程も記されていた。昭和天皇は「私ハどうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」(同1月11日)など、悔恨の念を盛り込む意向を繰り返し示したが、当時の吉田茂首相の反対で削除されたという。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース