山野拓郎、竹野内崇宏、香取啓介
南太平洋のトンガ諸島で15日に起きた海底火山の大規模噴火。噴火の規模が徐々に明らかになりつつあるが、多くの謎を残している。
「聞いたことのないような巨大な音、近くで大きな大砲を発射したような『バンッ』という音が空から響きわたりました。続いて、経験したことのない衝撃が駆け抜けました」。宗永健作・駐トンガ大使は大使館のホームページにつづった。
噴火したのは日本時間15日午後1時10分ごろ、首都ヌクアロファから60キロあまり離れた「フンガトンガ・フンガハーパイ」と呼ばれる海底火山だった。「巨大なキノコ雲が空の半分を覆い隠し、危機が今、目の前に迫っているのは誰の目にも明らかでした」
トンガ政府は声明で3人の死者と14人の負傷者を確認したとし、火山灰と津波の影響で「国民の約84%(にあたる約9万人)に被害が及んだと推定」されるとした。
気象衛星などの観測から、噴煙は一時、半径約260キロまで広がったとみられる。藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所長によると、噴煙が傘のように広がる「傘型噴煙」と呼ばれる巨大噴火に特徴的な現象だった。噴火の規模を示す火山爆発指数(VEI)は当初、5~6とされ、日本に記録的な冷夏をもたらした1991年のフィリピン・ピナトゥボ山の噴火に匹敵すると思われた。
ただ、国連衛星センター(UNOSAT)などによる現地の被害の映像では、首都付近に降った火山灰は数センチほど。藤井さんは「噴煙の規模に比べれば火山灰などは限定的だった可能性がある」と指摘する。
藤井さんが原因として可能性…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル