谷瞳児
「一票の格差」が最大2・08倍となった昨年10月の衆院選をめぐり、弁護士グループが「投票価値の平等を定めた憲法に反する」として選挙の無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が1日、高松高裁であった。神山隆一裁判長は、四国の11小選挙区について「違憲状態」と指摘した上で、選挙無効の請求を棄却した。
弁護士グループが289小選挙区すべての選挙無効を求めて全国14高裁・支部に提訴した一連の訴訟で、判決は今回が初めて。3月9日までに判決は出そろい、最高裁が年内にも統一判断を示す見通しだ。
最高裁は、最大格差が2倍を超えた2009、12、14年の衆院選について、都道府県にまず1議席割り振る「1人別枠方式」の問題点などを挙げ「違憲状態」と判断。格差が1・98倍となった17年の衆院選については、都道府県の人口比をもとに定数を配分する「アダムズ方式」の導入を16年に決めた国会の姿勢などを評価して「合憲」とした。
ただ、今回の衆院選にアダムズ方式の導入は間に合わず、格差は2・08倍に広がった。
弁護士グループは、国会が議員定数の配分や選挙区割りの調整を怠ったと主張。一方、被告の選挙管理委員会側は、当初の見込みと異なる人口の増減によって格差は広がったが、アダムズ方式の導入で「早晩、確実に解消される」として請求の棄却を求めていた。(谷瞳児)
神山隆一裁判長(64)は1984年に大阪地裁の判事補となり、大阪高裁や京都地裁などに勤務。2017年9月に高松高裁部総括判事となった。19年10月には、「一票の格差」が3・00倍だった同年7月の参院選を「違憲状態」と判断した。21年9月には、東京電力福島第一原発事故の避難者が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で国と東電の責任を認め、一審・松山地裁の賠償額を上積みした。(谷瞳児)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル