高校3年生の3人が開発した、日田杉を使った新商品が注目を集めている。昨年に販売を終了したが、木のぬくもりを感じるデザインや、室内に漂う香りが評判を呼び、追加販売が決まった。豪雨で打撃を受けた林業の産地支援と、コロナ下での新しい生活を充実させることがねらいだ。
3人は福岡雙葉高校(福岡市中央区)に通う藤武ひかりさん(18)、田村花乃さん(17)、八巻(やまき)彩乃さん(17)。
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標のうち15番目の「陸の豊かさも守ろう」を基本理念とし、林業が抱える問題の解決や活性化をめざす企業「nine.5」を2020年に起業した。
きっかけは学校で案内があった高校生向けのビジネスコンテスト。「高校生のうちにビジネスを経験できる機会はめったにない」と反応した田村さんに藤武さんが意気投合。コロナで海外留学を断念した八巻さんも「空いた時間を無駄にしたくない」と加わった。
起業するにあたり、3人は社会問題に取り組み、社会に貢献することを理想とした。田村さんが1次産業の活性化を提案すると、3人で九州のことを調べ始めた。九州北部豪雨で被害を受けた、大分県日田市の特産物である日田杉が気になった。日田杉を使った商品を開発することが、被災地支援につながるのでは。林業への思いを深めた。
制作活動する場所を、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械がある市民工房「ファブラボ太宰府」(福岡県太宰府市)と決めた。材料の日田杉は、工房のスタッフから紹介された大分県日田市の木工所にメールで注文する段取りもつけた。
日田杉の歴史を理解しようと、日田木材協同組合も取材した。その中で、杉が調湿作用に優れていることを知り、アイデアが生まれた。
それが加湿器だった…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル