「北京五輪、楽しんでください」
今月9日、田布施総合支援学校(山口県田布施町)の寄宿舎で暮らす14人の生徒たちは、手作りの似顔絵や日の丸を、五輪マークが描かれたホワイトボードに貼っていた。
応援メッセージを撮影した動画は翌10日、北京に送られた。届け先は、北京冬季五輪の開会式で旗手を務めたスピードスケート女子の郷亜里砂選手(34)。レースを3日後に控えており、返信は期待していなかった。すると――。
オホーツク海に面する北海道別海町出身の郷選手と山口県とのつながりは、ちょっと複雑だ。
同校の体育教諭を務める河村金満(かねみつ)さん(60)が郷選手と知り合ったのは2009年10月。郷選手が山梨学院大4年のころだ。県体育協会の一員だった河村さんは、11年に開催を控えた山口国体に向けて県外の有望選手を代表として招こうとしていた。
山梨学院大の関係者から「良い選手」と聞いていた郷選手。練習に臨む姿勢やコーチや先輩の話に耳を傾ける姿から人柄も評価され、候補として名前が挙がっていた。卒業を控えた郷選手は実業団からの誘いがなく、一般企業に就職する予定だったが、山口に縁のない郷選手の大会に河村さんは顔を出し、声をかけ続けた。同級生が先に山口行きを決めたこともあり、郷選手は国体強化選手として山口で現役を続けることになった。
国体が終わると県との契約が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル