120年以上にわたって家族のあり方を縛ってきた「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」の規定を見直すよう法制審議会が答申した。法務省は民法改正案の国会提出に向けて動き出すが、ここに至るまでには「伝統的な家族観」を重んじる保守派の議員らから慎重な意見も出ていた。
血縁関係によらず法律上の父親を決める嫡出推定。答申案をまとめた法制審の部会では、DNA型鑑定の進歩により遺伝上の父子関係の識別が容易になった今でも、子どもの養育環境を早く安定させる制度の趣旨からすれば、制度の重要性は変わっていないという意見で一致した。DNA型鑑定で血縁がないと判明しても制度を優先して父子関係を認めた最高裁判決もある。
一方、この制度が原因で戸籍のない子どもたちもいる。戸籍がないと住民票を得るのが難しくなり、婚姻届の受理や運転免許証の取得、銀行口座の開設など様々な場面で不都合が生じる。その存在が2007年ごろに相次いで明らかになると、見直しに向けた機運が高まった。
「貞操義務」に「性道徳」も
当時、自公の与党プロジェク…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル