小林圭、関謙次
名古屋市は18日、身寄りがなく死亡した住民の火葬を1年以上行わなかったとして、昭和区や熱田区、中川区の担当職員ら7人を戒告の懲戒処分としたと発表した。「事務に忙殺され、期限が迫った業務や緊急に入った業務を優先した」(市の担当者)ことなどが原因としている。
市はほかに、管理監督責任者として8人を所属長文書訓戒とすると発表した。
市によると、監査委員による監査で、2018年8月から昨年12月までに五つの区で計13人の火葬が行われていないことが判明。火葬を決めてから最長で3年4カ月、葬儀業者の保冷施設に保管されていた事例もあった。
また、熱田区と昭和区では、相続人への連絡や調査を継続せず、保管を続けていた事例が計5件あった。うち熱田区の1件では相続人への最後の連絡をしてから1年9カ月以上が経過していた。さらに昭和区では、相続人の調査が始められないまま、6カ月近く経過している事例も1件あった。
墓地埋葬法では、相続人など埋葬または火葬を行う人がいない、あるいは判明しないときは、死亡地の市町村長が行うとしている。市によると、死亡から火葬までの期間に決まりはないが、通常は半年程度かかるという。今回、処分の対象としたのは、1年以上経過した計9件だった。
市の監査報告書は「故人に対する礼意を著しく欠き、市民からの信頼を失墜させた」などと指摘した。
市は、相続人からの返答がない場合の対応を定めていなかったことも、手続きの遅れにつながったとしている。再発防止策としてマニュアルを見直し、手続きの進み具合を組織的に管理していくことを挙げた。
この問題を受け、河村たかし市長は18日、記者団に対し「各区長の責任だ」と主張した。しかし、記者団から市長としての監督責任を問われると、「申し訳ない。放置していて気がつかないわしが悪い」と述べ、一転して謝罪した。(小林圭、関謙次)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル