飼い主が亡くなったり、飼えなくなったりした猫を引き取る小さな保護施設「Reef Knot(リーフノット)」が、大阪府箕面市にある。立ち上げたのは、行き場を失った猫が処分される現実を知り、この世界に飛び込んだ飛田俊さん(40)だ。活動は山あり谷ありだが、「少しでもつらい思いをする猫を減らしたい」という思いが活動を支える。
元々、大手の企業に勤めていた飛田さん。チームを率いて、責任ある仕事も任されていた。そんなとき、テレビ番組で動物の殺処分についての特集をみた。「自分でもなにかできるのでは」と心がざわついた。
民間の保護施設があると聞いて、見にいった。たばこを押し付けられた猫、大きなけがの痕のある猫を見て、心が締めつけられた。
思い返すと、今の仕事は十分な収入があっても、「やりがい」は満たされていなかった。
本当にやりたいことが見つかった気がした。退職を決め、2014年、33歳で動物保護の世界にとびこんだ。
施設では保護された数十匹の犬や猫の世話をした。体はへとへと。給料は6分の1になった。それでも、「この子たちのために汗を流せている」、と気持ちは充実していた。だが次第に会社員時代の経験を買われ、人事などの管理部門を任され始めた。
仕事で保健所に行くと、殺処分される猫たちを目にした。施設の仕事も大事だが、自らの手で猫たちを助ける活動をしたい。
「Reef Knot」を18年に立ち上げた。阪急箕面駅からほど近いビルの2階に部屋を借りた。団体名の意味は「固結び」。飼い主と動物との強い絆をイメージした。
保健所などから猫を引き取り、新しい飼い主を募集する。施設内には猫の遊具もあり、のびのびと過ごせるようにつくっている。
環境省によると、全国の保健所などの猫の引き取り数は、89年度の約34万1千匹から減少傾向を続け、20年度は約4万5千匹だった。
猫の殺処分率は10年度まで9割超だったが、新しい飼い主への譲渡も増え、20年度の殺処分率は4割ほどに下がった。それでも約2万匹が処分される。飛田さんは「いまでも多くの動物が人間の身勝手で命を失っている」と憤る。
Reef Knotでは、これまで60匹の猫を新しい飼い主に渡した。
その一人、井渕有希さん(2…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル