大阪市立の中学校夜間学級(夜間中学)を四つから三つに統廃合する計画を受け、近畿夜間中学校生徒会連合会などは24日、廃止が検討されている天王寺(天王寺区)、文(ふみ)の里(阿倍野区)の存続を求める署名約4万4千筆を市教育委員会に提出した。
夜間中学は戦後の混乱期に仕事や家事で中学校に通えなかった人や外国出身の人らが通う。連合会によると、署名は全国の夜間中学の生徒や卒業生、映画監督の山田洋次さん、元文部科学省官僚で映画評論家の寺脇研さんらから集めた。
大阪市教委は、不登校の中学生が対象の「不登校特例校」を2024年春、浪速区の旧市立日東小学校跡地に作り、ここに新たな夜間中学を併設する計画だ。
市教委の担当者はこの日、市役所を訪れた夜間中学の生徒ら約30人に「天王寺と文の里の二つを統合して、新しく(夜間中学を)不登校特例校に併設しようという考え方」だと説明した。理由には、外国人生徒の急増で日本語を指導する教員が不足していることなどを挙げた。
府内の夜間中学には、学齢期に中学校だけでなく小学校にも通えなかったなど、個別の事情に応じて最大9年まで在籍できる。天王寺、文の里の生徒からは、家庭の事情や職場との距離などを理由に「新しい夜間中学に移るのは難しい」と不安の声が上がる。
天王寺の存続を訴える韓国出身の成準浩(ソンジュノ)さん(71)は「交通も便利なため、あきらめかけてきた学びを続けることができた」と話す。
文の里の生徒会長、黒木美代子さんは終戦直後、家事のため中学校に通えなかった。夜間中学で読み書きを覚えて自信がつき「生きてきた中でいまが一番幸せ」だという。「この大切な学校を残してください」(宮崎亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル