水田道雄、前田健汰
三菱重工業下関造船所(山口県下関市)の健康被害をめぐる損害賠償請求訴訟の判決が25日、山口地裁下関支部であった。種村好子裁判長は、下請けや孫請け会社の元作業員2人のうち、1人は会社側の責任を認め、遺族に1430万円の賠償を命じた。もう1人は請求を棄却した。
元作業員2人は1957~2009年、船内で電気溶接をするなどし、作業中に粉じんを吸い込んだとして国からじん肺認定を受けた。17年4月に三菱重工に計約7千万円の損害賠償を求めて提訴。その後2人は死亡し、遺族が訴訟を引き継いだ。
種村裁判長は判決で、元作業員1人について「粉じん対策は不十分で、安全配慮義務違反があった」として会社側の責任を認めた。もう1人については、長期間粉じんに曝露(ばくろ)されたか明確ではなく、喫煙の習慣もあり、別の理由で肺疾患になった可能性があるとして、「じん肺に罹患(りかん)しているとは認められない」とした。原告らは控訴を検討している。
請求が棄却された元作業員の長女は「晩年、父が苦しんでいた姿を思うと、判決が残念。しっかりと認めてくれるまで戦う」。賠償を認められた元作業員の次女の桶谷睦子さん(55)は「すべての請求が認められたわけではない。父のことを思うと納得はできない」と話した。
三菱重工は取材に対し「今後の対応は判決文を精査してから検討したい」とのコメントを出した。
今回は、下関造船所でのじん肺被害をめぐる第2次訴訟。第1次訴訟では2015年、元従業員と遺族6人に計約8千万円の支払いを三菱重工に命じた二審判決が確定している。(水田道雄、前田健汰)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル