みなさんのまわりにも無駄な会議、ありませんか。人材開発や組織開発に詳しい立教大学の中原淳教授に、無駄な会議の撲滅方法と、コロナ禍のもとでの会議のあり方を聞きました。
――ダメな会議とはどのようなものだと思いますか
いくつかあると思います。
①会議が終わっても何も決まらない
②終了予定時刻に終わらず、延々と延長する
③話し合わなくていいことで会議を開く
④誰も見ない議事録をつくる
今は、パソコンでみんなが画面見ていますよね。パソコンで必要なメモをとって共有すれば終わりです。一言一句、発言を起こしても誰も読みません。
会議資料の印刷もやめた方がいいと思います。パソコンで簡単に共有できますし、資料を印刷してホチキスでとめる仕事をする代わりに、他の仕事をした方がいい。
まず、「その仕事は『会議なし』でできないか」と考えてみてみるべきです。そのうえで、会議が必要だという結論に達したら、「会議が終わった時に何が決まっているか」をイメージする。会議の主催者がはっきりとゴールを明示すべきでしょうね。あとは、終了時刻を意識して、長引かないようにしっかり時間をコントロールしていくことが必要だと思います。
――コロナ下での変化はありますか。
オンラインの会議で生産性は「爆上がり」したと思います。一方で、オンライン会議に気軽に「招待」するようになり、必要のない会議が開かれたり、必要のないメンバーが呼ばれたりして、勤務時間が増えている可能性があります。
「オンライン地蔵」をよく見かけませんか。ビデオをオフ、音声をミュートにして、一言も発さずに会議を退出していく人です。多分、オンライン地蔵側も「なんで自分が呼ばれたんだろうな」って思っていると思います。
パソコンの向こう側ではストレッチをしているかもしれません。そういった会議は、発言を求められなかったり、発言をすると責められたりする雰囲気があるのかもしれません。
実際に私が大企業と打ち合わせをすると、部長、課長、係長、仲介のプロダクションに代理店……と人数がやたらと増えます。企業の人たちに話を聞いていると、「これ以上無駄なものはありません」ってみなさん言うんですよ。
ただ、聞き取ったことを口外しないという心理的安全性を確保した上で聞き取りをすると、出てくる出てくる。無駄のオンパレードです。
従業員の方は、職場の仕事に無駄があるって知っているんです。ただ、それを言い出せない。干されるのでは、という不安から「こんな無駄はやめましょうよ」と切り出せないんだと思います。
――2017~18年に「無駄な会議」について調査されました。
当時、長時間労働の是正や働き方改革というのが問題になっていて、大手人材サービスグループの研究機関「パーソル総合研究所」と調査をしました。
企業へのヒアリングでは、IT機器の導入など企業が努力してハード面は進歩していました。一方で、仕事のやり方というソフト面では、みんなが無駄と思っているけど言い出せずに改善できていないんだと思いました。
6千人のビジネスパーソンに調査したところ、社員層で23・3%、上司層では27・5%と、4分の1が会議に無駄が多いと感じていた。会議時間の4分の1が無駄だとして、そこに人件費を掛け合わせると、どのくらいお金がかかっているかがわかると思います。
企業のマネジャーに「その会議、見直しませんか」といってもピンときませんが、1時間の会議に20人の社員が参加したとして、時給をかけてみてくださいと言うと、びっくりする値段が出ます。やっぱり意識しないことには、なかなかルーティン化したものを見直そうと思わないですよね。
――コロナ禍で会議のあり方を模索している企業も多いのでは。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル