大阪スパイスカレーが熱い、と耳にしたのは10年ほど前だ。スパイスは香辛料、カレーは香辛料を使った料理だから「山に登山する」みたいな不思議なネーミング。全国のカレーファンが「聖地巡礼」に訪れるほどらしいと知り、私も食べ歩きを始めた。店によって見た目も味も全然違う。でも、どれもうまい。
大阪・北浜はスパイスカレーの有名店がひしめく激戦区だ。その一つ「谷口カレー」(大阪市中央区)は平日の昼間、書店の1階を間借りして営業している。今では業界で一般的になった形態「ヤドカリ」店の先駆けと言われる。
看板メニューの「麻辣(マーラー)豚バラキーマカレー」(税込み900円)は、肉や野菜で取っただしと、すりおろしたジャガイモ、ニンジン、タマネギなどを合わせ、約20種類のスパイスで味を調える。具材は豆腐や別鍋で炊いた大根など、カレーらしからぬ顔ぶれだ。仕上げに刻みネギとトウミョウを載せ、ラー油、カルダモンなどを後がけする。
口に入れると、かむたびに新しい食感や香りが広がる。小麦粉は使わず、軽く爽やかな後味になるよう心がけているという。カレールーを使った「おうちカレー」とは別物だ。
スパイスと具材、無限の組み合わせ
店主の谷口智康さん(39)…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル