新屋絵理
著名な日本画家の偽版画を制作・販売したとして、著作権法違反の罪に問われた画廊「かとう美術」(大阪市)の元代表・加藤雄三被告(53)に対し、東京地裁(小林謙介裁判長)は9日、懲役3年執行猶予4年、罰金200万円(求刑・懲役3年、罰金200万円)の判決を言い渡した。
加藤被告は1月の初公判で起訴内容を認め、「著作権者をはじめ業界や購入者などにも多大な迷惑をかけた」と謝罪した。「一度に大量に流通させると偽物とわかるため少しずつ売っていた」と流通量を調整していたことなども明かした。
冒頭陳述などによると、加藤被告は2007年ごろ、共犯とされる北畑雅史被告(68)=同罪で起訴=に版画作品の修復作業を依頼した。出来が良かったことなどから、翌年から有名版画の複製を頼んだという。
弁護側 「美術品の偽物、めずらしくない」
北畑被告は自身の版画工房の経営が悪化していたことから、1作品あたり数十万~100万円で引き受けたという。
20年ごろから画廊経営者らの間で偽版画販売などの疑いが強まると、加藤被告は北畑被告と通じて、保管していた偽版画約100枚を焼却して証拠隠滅もはかったという。
検察側は論告で「作品の価値を低下させ版画業界の信頼を失墜させた」として懲役3年、罰金200万円を求刑。弁護側は「美術品では偽物の混合もめずらしくない。深く反省している」として執行猶予付きの判決を求めていた。
業界団体でつくる臨時偽作版画調査委員会が21年4月、警視庁に告発状を提出。同年9月に加藤・北畑両被告が著作権法違反容疑で逮捕された。(新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル