東日本大震災の巨大地震は、断層が非常にゆっくり滑る「スロー地震」と呼ばれる現象の多発域で断層の破壊が止まっていたことを、京都大防災研究所などの研究チームが突き止め、米科学誌サイエンス電子版に23日、発表した。地震の規模を大きくする断層破壊の広がりを妨げるバリアーとして働いた可能性があり、巨大地震の発生リスクや規模を評価する上で重要な成果だとしている。
スロー地震は海溝型地震を起こすプレート(岩板)境界の断層が、揺れを感じないほどゆっくりと滑る現象。巨大地震の発生域近くで頻繁に観測され、関連性が注目されている。
研究チームは、東北地方太平洋沖に延びる日本海溝に防災科学技術研究所が設置した地震津波観測網「S-net」のデータなどから、日本海溝の全域で平成3~30年に発生したスロー地震を初めて網羅的に検出した。
分析の結果、大震災の巨大地震で断層が特に大きく滑った宮城県沖を南北から挟むように、岩手県沖と茨城県沖でスロー地震が多発していたことを発見。巨大地震の断層破壊は、スロー地震の多発域で停止していたことを突き止めた。
研究チームの西川友章・日本学術振興会特別研究員(地震学)は「スロー地震の多発域では、何年もかけてゆっくりとエネルギーを解消するため、バリアーとして機能したのではないか」と話す。
巨大地震が想定される西日本の南海トラフでも、想定震源域の周辺でスロー地震の多発域が確認されており、同様に断層破壊が広がるのを妨げる可能性があるとしている。
チームは昭和5年以降に日本海溝沿いで発生した大地震でも、スロー地震の多発域では断層が大きく滑っていないことを確認した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース