SMBC日興証券による株価操作事件で逮捕された副社長執行役員・佐藤俊弘容疑者(59)が、違法性が疑われる取引の仕組みについて何度も説明を受けたうえで事前に了承していたとみられることが、関係者への取材で分かった。社内の監視部門から「不審取引」という指摘を受けながら是正しなかったことも判明した。東京地検特捜部は、部門を統括する副社長の了承のもとで組織的に株価操作が行われていたとみて調べている。
佐藤容疑者は24日、部下の山田誠被告(44)らと共謀したという金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕された。2021年4月、大株主の保有株を市場外で買い取って投資家に売る「ブロックオファー」取引の対象だった製薬会社(東証1部上場)の株式について、売買価格の基準となる市場終値の下落を避ける株価操作をした疑いが持たれている。逮捕後の調べに違法性を否定しているという。
佐藤容疑者は20年3月、株の売買を担う「エクイティ本部」の統括担当に就いた。関係者によると、19年12月から同様の株価操作を始めていたとされる元エクイティ部長・山田被告らは、着任直後の佐藤容疑者にブロックオファーをめぐる取引の仕組みを繰り返し説明した。投資家の「空売り」で株価が下がると大株主が売却を撤回する恐れがあるため、市場が閉じる直前に自社資金で大量に買い支えて株価を安定させ、取引成立によって売買差益を得る――といった内容で、佐藤容疑者からは包括的な了承を得たという。
特捜部はこうした説明を録音した音声データなどを押収。そのうえで、その後に買い支えが実行された複数の銘柄のうち、佐藤容疑者が個別具体的に事前了承するメールを山田被告に送るなどしていた製薬会社に絞って立件したという。
山田被告は取引後も佐藤容疑者に「私たちが支えなければひどい相場になっていた」とメールで報告することもあったとされる。
■監視部門が「不審な取引」指…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル