お子様がおしっこやうんちをした後のおむつは、持ち帰ってください――。保育施設への入園の際、そう聞いて驚いた保護者もいるかもしれない。実は、使用済みおむつの「持ち帰り」ルールの有無は、自治体によって大きな差があることが、民間調査で明らかになった。一方、保護者からの要望を受けて園での廃棄に切り替えた自治体もある。
「臭いが気になって電車に乗りづらい」「衛生面が心配」「帰宅途中にスーパーにも寄れない」
そういった使用済みおむつの持ち帰りに対する保護者の声が寄せられていると話すのは、紙おむつの定額サービスを展開する「BABY JOB」(大阪市)の広報担当者だ。同社は今年、全国の公立保育施設の持ち帰りの実態について、公立施設がある全国1461の市区町村へ調査を実施した。
その結果、全体の約4割(575自治体)が「持ち帰りにしている保育施設がある」と回答した。都道府県別で最も割合が高かったのは滋賀県で89%。長野県85%、香川県75%、京都府73%、島根県、山口県67%と続いた。一方、愛媛、石川、青森の3県は0%だった。
「持ち帰り」とする自治体にその理由を聞いたところ、「健康状態を保護者に把握してもらうため」というものが43%で最多。「理由は分からない」(30%)、「ごみの保管・回収の手配で問題がある」(14%)、「予算がつかない」(9%)という回答もあった。一方、新型コロナウイルスの感染症対策として、園廃棄に切り替えた自治体もあるという。
同社の上野公嗣社長は「自治体の中には実態そのものを把握していないケースもあり、保護者の負担や衛生面のリスクがあるという認識が薄いのではないかと感じる。保護者の意向もふまえ今後のあり方を検討してほしい」と話している。
全国の保育施設でみると、使用済みおむつを持ち帰ってもらうか、施設内で処理するかはまちまちでした。記事後半では、都道府県別の「持ち帰り率」を紹介します。
「バッグに臭いがついて困っていたが、園廃棄になりとても助かった」。香川県善通寺市の保育施設に長男を預ける母親(32)は、当時を振り返る。
空海誕生の地で知られる同市は3年前、持ち帰りから園での廃棄に方針転換した。私立施設にも回収費用に補助を出し、園での廃棄を求めた。
きっかけは2018年秋。「…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル