小学校に文房具が詰まった段ボールが届いた。キャラクターが描かれた赤い鉛筆に目がとまり、喜んで持ち帰った。よく見ると、鉛筆に女の子の名前が刻まれていた。
「ほかの子の名前が入ってるやん」
油性ペンでグリグリと塗りつぶした。
それが被災地への救援物資で、困っている人のために手放された物だったのだ、とそのときは気づけなかった。
防災の道へ
神戸学院大元職員の岸本くるみさん(35)は、小学2年の時、神戸市の自宅マンションで阪神・淡路大震災を経験した。
飼い猫は7階から投げ出されて死んでしまい、ライフラインが1カ月以上とまって、市内の親戚宅に身を寄せた。
不眠不休の市職員や消防、ボランティア。被災者を支えた人たちの当時の様子を知ったのは、兵庫県立舞子高校の時。全国で初めて設けられた環境防災科に、「おもしろそうな学科ができる」と聞いて入学した。1期生だった。
岸本さんは防災の道を順調に歩み始めますが、体に突如異変を感じ、療養生活を送ることになりました。しかし、あることがきっかけで再起を目指すことになります。
卒業研究では、復興が進む神戸のまちで防災設備を紹介するフォトブックをつくった。マクドナルドの店先にある消火器をカメラにおさめているとき、思った。「火事があったら消そうとしてくれている。自分は多くの人に守られているんだ」
芽生えた感謝の気持ちを伝えたくて防災の道を進んだ。神戸学院大でも防災教育をまなび、卒業後は青年海外協力隊でエルサルバドルへ。防災計画や住民の訓練の支援にかかわった。
突如異変、体重は35キロ
ただ、体調を崩して7カ月で緊急帰国した。
ものが食べられず、体重は一…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル