保育園に入園したての子どもたちが短時間から保育に慣れていく「慣らし保育」を、「慣れ保育」と呼ぶ園が増えています。
いつごろから、どんな理由で広がったのでしょうか。
起源を探っていくと、「子ども観」の変化が見えてきました。
記者が「慣らし保育」の取材を始めた4月の前半。SNS上で「慣れ保育」という言葉をよく目にした。
なぜ、言い換えるのだろう。
「保育園を考える親の会」顧問の普光院亜紀さんに聞いてみると、「特に都市部では、何年も前から、子どもを尊重する意識が高い園で『慣らし保育』を『慣れ保育』と呼び替えることが始まっていたと思います」という答えが。ただ、はっきりとした理由や起源はわからないという。
そこで、東京都大田区の未来のツリー保育園の園長でもある河合清美さんに聞いた。
「大人が主導の『慣らしていくための保育』という考え方から、子どもに主体をおいた『慣れていくための保育』という考え方への変化を反映しています」
河合さんが、保育の現場で「子ども主体」が強く意識されるようになった最初のきっかけと考えるのは、「子どもの権利条約」(1989年に国連で締結され、18歳未満の子どもも権利をもつ主体と位置付けた)だ。
ただ、日本の批准は1994年と随分と前になる。その後、保育所保育指針にもその考え方が徐々に反映され、前々回(2018年)の改定あたりから、「昔は一部の保育者しか持っていなかった、子どもに何かを『させる』という意識は違うよねという思いが、保育業界のポピュラーな意識になってきているように感じます」。
記事後半では、日本保育学会前会長の汐見稔幸・東京大名誉教授に、乳幼児にも浸透する「根性論」について聞きました。
実は河合さんは、言い換えの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル