北海道・知床半島沖の観光船沈没事故はなお12人の行方がわからず、捜索活動が続けられている。海上保安庁は捜索の範囲を広げているものの、事故現場に近い北方領土周辺で捜索を始めたのは、発生から2週間近くたってから。背景には、安全保障も絡むデリケートな「壁」があった。
観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が知床半島沖で消息を絶ってから5日後の4月28日。ロシアのサハリン州国境警備局から、第1管区海上保安本部(小樽市)にファクスが届いた。
北方領土のひとつ、国後島の西方海域で「救命胴衣を着用した漂流者を発見」「荒天のため引き揚げられず」「リュックサックを引き揚げた」という内容だった。
知床半島先端の知床岬から国後島までは、40キロほどの距離だ。国後島にある同警備局の事務所は29日、朝日新聞の電話取材に対し「(捜索への)協力を続けており、今後も何か見つかればただちに日本側へ連絡する」と答えた。
情勢問題抱えているが「関係はいい」
政府関係者によると、日ロの政府間ではウクライナ情勢をめぐる関係の難しさを抱えているものの、ロシア側の海保にあたる同警備局と日本の海保は日頃から海上の安全確保について連絡を取りあっており、「現場同士の関係はいい」。今回も同警備局は国後島の周辺で「捜索にあたってくれている」という。
ただし、現場では当初から国…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル