北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は11日、小型観光船の安全対策について議論する検討委員会の初会合を開いた。委員からは、救命具や通信設備の整備が全国で同じ基準となっている現状を問題視する意見が相次いだ。国交省は議論をふまえ、全国一律ルールの見直しなど、再発防止に向けた規制強化を検討していく方針。
委員は、海事法や船舶工学、船員養成などの有識者ら計14人。地域事情も反映させるため、知床半島で大型観光船の事業を営む企業の社長も参加している。検討委の初会合は冒頭を除き非公開で実施された。
今回の事故をめぐっては、荒天が予想されながら出航した判断のほか、通信設備や救命具、船長の経験が十分だったかが課題として指摘されている。
初会合で注目されたのが、安全対策が全国で同じ基準となっている点だ。
現在のルールでは、船に備え付けるべき救命具や通信設備は、地域ごとに差はない。カズワンは規則に従って救命胴衣や救命浮器を備え付けており、乗船者は実際、救命胴衣をつけていたとみられている。
しかし、事故があった4月下旬の知床半島沖は海水温が低く、水につかってしまう救命胴衣や浮器では命を救うのが難しいと指摘されている。船からの通信も、船長の携帯電話を使う予定だったが、現地は携帯電話がつながりにくい地域だった。
国交省によると委員からは、北海道のように水温が低い地域では、体が水につからない救命いかだの設置を義務づけることを検討すべきではとの意見があがった。携帯電話がつながりやすい港や湖と、つながりにくい地域でルールが同じである点も異論が示され、地域によって衛星電話や無線を備えるべきだとの声もあったという。
さらに船員に求められる技量…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル