ののちゃんのDO科学
「キリンやウシはなぜ草だけ大きくなれる?」
東京都・橋本亜希さん(36)からの質問
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- ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。
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ののちゃん 動物園でキリンに草をあげたら、首をにゅーっと伸ばして、むしゃむしゃ食べていたよ。
藤原先生 キリンは大きいわね。オトナだと、高さが5メートルを超えて、体重が2トン近くにもなるそうよ。
のの でも、どうしてあんなに大きくなれるのかな。私だったら、草だけで生きていけないよ。
先生 ヒトではむりね。草や茎は綿や紙のもとになる繊維の成分のセルロースが多くて、消化が難しいの。キリンも自分の消化液ではセルロースを分解できないのよ。
のの じゃあ、どうしているの?
先生 胃に細菌やカビの仲間がいっぱいいて、分解してくれるの。分解でできるものの一つが酢酸。お酢の酸っぱい成分ね。これを胃から吸収してエネルギーにしているのよ。
のの じゃあ、私の胃にも微生物がいれば、草食動物になれるかな。
先生 それは難しいわね。一つには、セルロースの分解はすごく時間がかかるの。よく調べられているウシだと、食べたものが平均で2日間ぐらい、胃にとどまるそうよ。だから、食べたものをしっかりためこめる胃袋が必要なの。ヒトの胃はオトナでも2リットルぐらいだけど、ウシは百数十リットル。ヒトが、ポリタンク1個分ぐらいの胃袋を持っているようなものね。キリンの胃も大きいのよ。
のの へえー。でも、食事のバランスはだいじじゃないの?
先生 とくに、たんぱく質をどうしているのか不思議ね。お肉や豆にはたくさん含まれているけど、草や茎には少ししかないから。なぞ解きの前におさらいすると、たんぱく質は、消化液でバラバラにされて、小腸で吸収される。そして、必要な種類のたんぱく質に作り直される。問題はそのあと。筋肉などのたんぱく質は何もしなくても毎日こわれてしまうのよ。ヒトは、こわれたたんぱく質を尿素に変えて、おしっこで外に出してしまうけど、キリンはすてないでもう一度利用しているの。
のの リサイクルってこと?
先生 そう。キリンはヨダレをたくさん出していて、そこに尿素が含まれているの。胃の中の微生物は尿素をもとにたんぱく質を作って、自分の体の材料にする。そうやって増えた微生物が、小腸の方に流されて消化・吸収されるのよ。胃で増やした微生物を食べちゃうイメージね。
のの 他の動物はどうなの?
先生 ウシやヒツジは同じような仕組み。でも、ゾウのように、消化を助ける微生物が大腸にいる動物も多いわ。消化しやすいものは胃や小腸で消化・吸収して、消化しづらいものが大腸にたまって微生物が分解するの。大腸にも栄養を吸収する働きがあるそうよ。ヒトの大腸にもたくさんの微生物がいて、色々な働きをすることがわかってきている。研究がとてもさかんな分野の一つよ。(取材協力=坂田隆・石巻専修大教授)(阿部彰芳)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル