森下裕介
アスベスト(石綿)を含む建材の運搬業務に従事したため、悪性胸膜中皮腫になり、2月に死亡した兵庫県尼崎市の男性(当時62)の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟が3日、大阪地裁で和解した。遺族側代理人の大阪アスベスト弁護団によると、国が責任を認めて1300万円を支払う内容で合意したという。
男性は1982年~2003年、尼崎市内で運送会社のトラック運転手として勤務していた。運搬した建材に付着した石綿や、運搬先の建設現場で飛散した石綿を吸ったという。
建材の石綿被害をめぐっては、国と建材メーカーの責任を認めた昨年5月の最高裁判決を受け、給付金を支払う国の仕組みが今年1月に始まった。建設作業だけでなく、付随する作業の従事者も対象となったが、その範囲について厚生労働省は「具体的な作業内容から検討する」としている。
弁護団によると、建設作業ではなく、付随する運搬業務で和解するケースは珍しい。谷真介弁護士は「建設作業に直接関わっていないという理由で、給付金の申請をためらう人は多いはずだ」と指摘する。
弁護団は、無料の電話相談(0120・966・329、平日午前10時~午後6時)を受け付けている。(森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル