耕論 食品値上げという不安
食品価格が軒並み値上がりしている。目の前の生活への不安と、将来の見通しへの不安。食べ物が十分に買えないという不安にのみ込まれてしまわないために、どう向き合えばいいのか。
食品が値上がりする不安について、様々な角度から考えるインタビュー企画「耕論」です。日本総研の小方尚子さんは、実は以前から始まっていた「ある傾向」を挙げ、今回の物価上昇は節目になるかもしれないと指摘。子ども食堂代表の近藤博子さんは「人のつながり」に着目し、農業史研究者の藤原辰史さんは「不安の利用」に注意を促します。それぞれの見方とは。
かつてのインフレと違うのは 日本総研・小方尚子さん
これまでも日本で、食品を含めて物価が大きく上昇した時代はありました。オイルショックがあった1970年代の「狂乱物価」では、前年比10%超や20%超の上昇率を記録しました。バブル経済の90年ごろも、上昇率は3%を超えていました。
今回の上昇率は前年比2%台です。今後も年内は2%台ですが、来年には1%台になる見通しです。食料などの供給が需要に追いつき、欧米での金融引き締めでインフレが落ち着いてくるとみています。一見すると、過去の物価上昇局面に比べて大したことがないようにみえます。
ただ、バブル崩壊後の90年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル