大村久
佐賀県のブランドミカン「にじゅうまる」が不正に栽培され、県外で販売されていた問題で、県は26日、佐賀県警が同日付でいずれも県内の農家2人と集荷業者の代表の計3人と、法人としての業者について、種苗法違反(育成者権の侵害)容疑で佐賀地検に書類送検したと発表した。いずれも容疑を認めているという。
県によれば、農家は2018年春、県に無断で苗木を100株増殖し、翌春に80株を集荷業者に販売した疑いがある。また集荷業者はその苗木を別の農家に販売して栽培した「にじゅうまる」を今年、この農家とともに県外の市場に出荷した疑いがもたれている。
この問題は今年2月、県が県外の百貨店などで販売解禁の前に「にじゅうまる」と表示されて売られていることを確認して発覚した。県が認めていない圃場(ほじょう)で栽培された190キロが、売られていたという。このうち出荷先の市場が90キロ分を自主回収していた。
にじゅうまるは17年8月21日に品種登録され、栽培するためには県から許諾を受けたJAさがから苗木を買う必要がある。
県は問題が発覚した今年2月、農家が13~15年ごろ県の試験圃場(ほじょう)から無断で枝を持ち帰って栽培したとしていたが、この日の発表では、苗木は11年ごろ、県農林水産部の現地機関の職員が農家からの譲渡の依頼を断り切れずに渡していたことがその後の調査で判明したと説明した。職員の行為には違法性はないが不適切だったとし、今後研修会などを通じて職員や農家に知的財産に対する啓発を図りたいとしている。
県は4月27日付で佐賀南署に刑事告訴していた。(大村久)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル