35人が犠牲になった京都アニメーション第1スタジオの放火殺人事件で、京都府警は6日、事件当時、建物内にいた35人(負傷者34人、けがなし1人)の身元を匿名で発表した。なお女性7人が入院中で、うち3人は命にかかわる重篤な状態。負傷者には精神的なショックが大きく、職場復帰できていない人も複数いるという。
捜査1課によると、放火当時、役員と社員の計70人が建物内にいて35人が死亡、34人が負傷したほか、建物外でも出勤してきた40代の男性社員1人が煙を吸って軽傷を負った。
府警が6日に身元を公表したのは、建物内にいた35人で内訳は、男性16人、女性19人。京都、大阪、滋賀、奈良の4府県内在住で、7割超が20代と30代だった。現在のけがの程度は重篤3人、重体1人、重傷25人、軽傷5人だった。
負傷者の多くはやけどを負い、ベランダから飛び降りた際に足などを骨折した人も複数いる。心の傷も深く、すでに職場復帰した人もいる一方、「トラウマで職場に戻れない」「もう会社を辞める」と話している負傷者も複数いるという。
府警は、捜査本部のある京都市伏見区の警察学校に、スタジオのフロアを再現した模型を作成。負傷者一人ひとりに当時どこにいたか、周りに誰がいたか、どんな経路で避難したか、聞き取り確認を進めている。
府警は8月27日までにすべての犠牲者の身元を公表した後、負傷者に匿名で年齢や性別などを公表する方針を説明。西山亮二・捜査1課長は「犠牲者の身元公表を優先し、負傷者一人ひとりに説明したため、このタイミングでの発表になった」と話した。これまでも負傷した被害者は匿名で公表しているため、それに沿ったとしている。
捜査1課によると、殺人容疑などで逮捕状を取ったさいたま市見沼区の無職、青葉真司容疑者(41)は、重篤な状態を脱したという。呼吸器をつけ、言葉は話せないが、医師の呼びかけにはうなずいたり、首を振ったりできる状態になった。青葉容疑者の容体変化について、府警は6日までに遺族や負傷者への説明を終えたという。
青葉容疑者は今後も皮膚の移植手術を受ける予定で、感染症のリスクも残り、府警は逮捕するには相当な時間がかかるとみている。
京アニ放火事件の負傷者数
35人(男性16人、女性19人)
20代 15人
30代 11人
40代 7人
50代 2人
※京都府警への取材による
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル