明治神宮外苑(東京都新宿区)で2016年、ジャングルジム形の木製展示作品が燃え、中で遊んでいた男児(当時5)が死亡するなどした火災で、重過失致死傷の罪に問われた元男子大学生2人(当時18、19歳)の控訴審判決が13日、東京高裁であった。大善文男裁判長は「重過失までは認定できず、過失致死傷罪にとどまる」と述べ、禁錮10カ月執行猶予3年とした一審・東京地裁判決を破棄し、審理を東京簡裁に移送した。
過失致死傷罪の法定刑は50万円以下の罰金で、罰金以下の罪の一審は簡裁で審理される。高裁は「地裁は管轄違いと判断するべきだった」として、簡裁で審理するのが相当と判断した。
高裁判決によると、作品は日本工業大(埼玉県)の学生グループが芸術イベントで展示した。内部に置かれた投光器が作品の飾りに使われた木くずに触れて火災が発生し、男児を助けようとした父親も重傷を負った。起訴された2人は、当日の監視当番だった。
高裁は、重過失の認定には「わずかな注意を払えば火災を予見できた、と言える必要がある」と指摘。2人は初めての当番で危険性の説明も受けていなかった▽投光器は火災前から使われていた▽投光器から一定の距離があった2人が体感した熱は温かいという程度だった、などの点を踏まえると「重過失を認めるのは困難」と判断した。
こうした事情を考慮せず、投光器の熱を体感した時点で火災の危険性を認識できたと認めた地裁判決は「不合理で、破棄を免れない」とした。
火災をめぐっては、同大の指導教員らも業務上過失致死傷の疑いで書類送検されたが、東京地検は不起訴とした。教員については東京第五検察審査会が20年に「不起訴不当」と議決したが、地検が再び不起訴とした。
両親、元大学生2人のコメント全文
判決を受けて、男児の両親と…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル