県農業共済組合連合会は9日、記録的な大雨で鉄工所から流出した油の被害を受けた佐賀県大町町の農家に対し、農業共済で被害の一部を補償する方向で検討していることを明らかにした。通常は収穫後の実害を確認してから手続きを進めるが、油被害で多くの農作物の出荷が見込めないため、早急な対応が必要と判断した。
連合会は国とも調整を進め、近く農家や農協の意向を確認する予定。農作物や農地、農機具の補償を巡っては、佐賀鉄工所の対応も今後の焦点となる。
連合会によると、農業共済は、農家の掛け金と国の負担により、被災した農家の経済的な損失を補填する仕組み。台風などの直接的な被害のほか、大雨による土砂流入など二次的な被害も補償対象とし、これに油被害も当たるという。
連合会は6日までに町内の水稲農家16戸の計約26ヘクタールと大豆農家14戸の計約14・5ヘクタールで油被害を確認。水稲や大豆は出荷予定分、キュウリはハウス設備を対象に補償する。
また、県は同日、大町町の油被害を受けた作物について全量を刈り取って産業廃棄物として処分し、農地の土壌調査を行う方針を示した。県担当者は「一日も早い農家の営農再開に取り組みたい」と話した。
油被害に限らず、冠水や土砂流入による県全体の農業被害(9日朝時点)は水稲が12市町の計6853ヘクタールで、全体の約28%に及んだ。全国的にも高い収穫量を誇る大豆は13市町の計4892ヘクタールで、全体の約6割に上るという。
西日本新聞社
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