【動画】練習に励む福岡工業大吹奏楽団の学生たち=倉富竜太撮影
福岡工業大学(福岡市東区)の吹奏楽団の松井裕子さん(49)は1963年創部の歴史ある楽団で初の女性常任指揮者となった。3回目のタクトとなる今年の全日本吹奏楽コンクールでは、目指してきた「包み込むような優しい音色」で初めての金賞を目指す。
「ちょっと、リズムがおかしいわね」。福岡工業大学のホールに松井さんの声が響いた。スネアドラムのリズムが乱れ、松井さんの指導で何度か練習し、修正した。
福岡工業大の吹奏楽団は団員49人(女性21人、男性28人)で、大半が「スポーツ・芸術有能者選抜」入試で楽器の実技試験を突破してきた。平日の練習は講義が終わった後に3時間、コンクール前は6時間に及ぶこともある。
プロのクラリネット奏者でもある松井さんは2018年11月、この楽団の常任指揮者になった。
翌19年、全日本吹奏楽コンクールの全国大会に導くと、20年の中止を挟んだ21年に続き、今年も全国出場を決めた。だが松井さんは「伝統ある楽団で大学生ということもあり、学生たちに基本的な練習は任せている」と謙虚だ。
体が大きな男性の方が迫力ある音を響かせることができる、とも感じる。それでも優しく繊細にタクトを振ることで「包み込むような優しい音を引き出すことができるような気もするんです」と松井さん。「結局は、私が学生たちにどのような音楽を求めるかで、出てくる音楽が決まる。それを練習の時に言葉や表現で求め、学生がそれについてきてくれている」
「包み込むような優しい音」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル