緊急事態宣言が解除され、行動制限がなくなったにもかかわらず、屋外で酒を飲む「路上飲み」が続いている。コロナ禍が生んだ新習慣なのだろうか。夜の東京・渋谷の街を歩いてみると、缶ビール片手に若者たちが屋外に集う意外な理由が聞こえてきた。
10月中旬の金曜、午後11時半。渋谷駅に近い通りにあるコンビニエンスストアの前では、幾つものグループが立ったまま輪になりながら、缶ビールの杯を傾けていた。マスクをしている人はほとんどいない。
「立ち止まったり、座ったりしないでください」。通りのスピーカーからそんなアナウンスが響くなか、路上に座り込んで宴会に興じる若者の姿もある。
飲み会する若者「店と変わらない」
缶チューハイを片手に学生時代の仲間と話し込んでいた横浜市の会社員女性(24)は、初めての路上飲みだという。「店で飲むのとそんなに変わらない」。一緒にいた会社員男性(24)は、「外で飲むのはやっぱり気持ちいい。コロナも気にしなくていいし」と笑った。
飲食店やクラブが立ち並ぶ渋谷区道玄坂2丁目に足を向けると、日付が変わっても道路脇の屋外駐車場で若者たちが酒を飲んでいた。近隣住民の1人が取材にこぼした。「騒ぎ声が大きくて眠れないし、朝もごみが散乱してひどい」
ハロウィーン対策として路上飲みが禁止されていた10月29日夜も、渋谷センター街では、仮装行列のなかをアルコールを飲みながら練り歩く人々がいた。
渋谷の商店街によると、路上や公園で飲食する路上飲みは、緊急事態宣言中の飲食店の休業や時短営業に伴い、2020年ごろから増え始めた。屋外でもマスクを外したり大声で話したりすると感染リスクが高いとして、国が路上飲みについて注意喚起する事態に。渋谷駅周辺の商店街も昨年4月、対策を求める要望書を渋谷区に提出した。
最後のまん延防止等重点措置後に東京都が設けた「リバウンド警戒期間」は今年5月に解除され、感染防止策が認められた認証店については制限がなくなった。店で深夜まで飲食できるようにもなったわけだが、路上や公園で飲む人たちの姿は今も目立つ。
専門家「新しい習慣になってしまった」
路上飲みはなぜなくならないのか。
「コロナ下の新しい習慣が定…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル