和歌山県の無人の寺で相次いだ仏像の盗難事件。容疑者が逮捕され、一体の仏像の返還が実現しました。
実はこういった返還の事例は「奇跡的」とも言えるほどで、取り戻せない仏像が数多くあります。
その現状と事件の裏側を「ツイセキ」しました。
警察から運ばれてきた「盗まれた仏像」
和歌山県田辺市の人里離れた集落にある「華蔵寺」。この日、本堂に地元の人たち約40人が集まりました。
和歌山県警の捜査員が4人がかりで運んできたの、は寺から盗まれていた「釈迦如来坐像」です。
寺では今年2月ごろ5体の仏像が盗まれましたが、8月、この仏像だけが見つかり、約半年ぶりに寺に返還されたのです。
【地元住民】
「良かったありがたいです」
「よりどころだと思いますね。あって当たり前の存在だと思うので」
人々の心の拠り所である仏像を狙う盗難事件。その背景には何があったのでしょうか。
費用面から警備が手薄…狙われた「無住寺」
仏像はどのように盗まれたのか、8月に取材班が被害の実態を尋ねると…
【華蔵寺・九鬼聖城 住職】
「持ち上げたらガタッと外れる状態だった。(建物の)雨戸を外して入ってった。盗られたのはここの仏さん。黒く跡形ありますが。脇の3体が並んでたんです。位牌もきれいにどけてました。倒すことなく。あっけにとられるしかなかったですよね。あるものがない、あぁと…」
寺は50年ほど前から無人で管理しているいわゆる「無住寺」。
集落の過疎化や檀家の減少のほか、費用面で防犯カメラの設置もできず、管理が難しくなっています。
和歌山県の南部や隣接する三重県では「無住寺」を狙った仏像盗難が多発。地元関係者などによると、おととしから今年まで十件以上発生しています。
関西テレビが今年4月取材した白浜町の「梵音寺」でも、町の指定文化財の仏像が被害に遭いました。
【梵音寺・小松原昭太総代長】
「大切な物は大切な物だが、高価な物という意識はあまりなかった」
仏像はその後、国道沿いの脇に 無残に捨てられていました。この2つの事件は8月、急展開を迎えることとなります。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース