村上友里
静岡県で1966年にあった強盗殺人事件で死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の再審請求審で、焦点になっているみそ漬けの衣類に付着した血痕の変色について、弁護団は9日、「検察側が実施した実験でも赤みが確認できなかった」と明らかにした。
事件では、袴田さんの逮捕から約1年後にみそタンクから赤みのある血痕のついた衣類が見つかり、「犯行時の衣類」とされた。
弁護側は「みそに長時間漬けた場合、赤みは残らない」とし、証拠は捏造(ねつぞう)だと主張。一方、検察側は「赤みが残る可能性はある」とし、約1年2カ月にわたり、実際に血痕の色の変化を見る実験を行っていた。
高検に即時抗告の取り下げを要請
審理を担当する東京高裁の裁判官が1日、この実験結果を視察したところ、布についた血痕の赤みが消えていたという。視察に同席した弁護団は9日の会見で「赤みが失われていることは裁判官にも感じてもらえたと思う」と話した。
この衣類をめぐっては、最高裁が2020年、血痕が変色する要因に絞って審理をやり直すよう高裁に命じ、東京高裁で審理が続いている。
この結果を受け、袴田さんの支援者は9日、東京高検に対し、再審開始決定への即時抗告を取り下げるよう求める要請書を提出した。(村上友里)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル