冬のリゾート地として知られる長野県白馬村に「ワサビ」を栽培しているキャンプ場がある。サイトの一部を「畑」にし、キャンパーに自分で収穫してもらい、バーベキューで肉などと一緒に食べてもらう。きっかけは木材リサイクル業に携わる男性による「発想の転換」だった。
長野市の中心部から車で1時間ほど走り、県道から坂道をのぼる。「わさび園」と書かれた看板の下に「キャンプ場併設」とある。ただ、坂を登り切るとどちらが本業なのか分からなくなる。北アルプスを背に、緩やかな山の斜面には100区画以上のサイトが広がっていた。ところどころに「西洋わさび」と書かれた看板も立っている。
経営者の田中末春さん(71)に話を聞くと、「商売はどこにヒントがあるのか分からない」と言って経緯を説明してくれた。
白馬村はワサビ農家とは無縁の地
元々、あたり一帯は小さなゴルフ場だったが、十数年前に所有者の男性が事故で亡くなった。田中さんは隣接する土地で木材のリサイクル施設を経営していて、男性のこともよく知っていた。男性が所有する分に加え、土地を貸していた地権者からも了解が得られ、3ヘクタール以上ある山を利用することにした。
ちょうどその頃、近隣の自治…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル