佐野楓、日浦統
札幌市議会の冬季五輪・パラリンピック招致調査特別委員会は12日、2030年招致の賛否を問う住民投票実施を求める請願を「不採択」にした。住民投票をめぐっては6月に共産党と市民ネットワーク北海道が住民投票条例案を提案したが、自民党と公明党、旧民主党系の3会派が反対して否決。今回も同様の構図で不採択となった。
この日午前、市民団体「冬季オリパラ招致問題を考える市民の会」は、請願に賛同する個人の署名635筆、団体の署名32筆を細川正人議長に提出した。
委員会では神原勝・北海道大学名誉教授(79)が請願趣旨を説明した。市が06年に制定した自治基本条例は「市政に関する重要な事項」は住民投票ができると定めており、オリパラ招致はこれに相当すると指摘。単独での実施だと4億円前後の経費がかかるが、来春の市長選や市議選に併せて行えば「経費を抑えられ、選挙の投票率も高まる」として同時実施を求めた。
審議で不採択派は「市議会は3月にまちづくりに活力を与えるオリパラ招致の決議をしており、これに責任を持つべき」(自民)、「住民投票は18歳以上の市民に賛成か反対かの2択を迫るもの。道内の他都市や将来を担う若者らの意見が反映されない」(立憲)、「オリパラは子どもたちが成長し、躍動する機会となる。いま必要なのはオリパラを市民の新たな誇りとするための取り組みだ」(公明)と主張した。
採択派は「招致の賛成派も反対派も、確信を持って意思表示できる場として実施すべき」(共産)、「住民投票で多くの賛成が得られれば、招致を支える基盤が札幌市にあることを国内外に表明できる」(市民ネット)などと主張した。
神原氏は「市も市議会も反対する市民が多いと想定しているから踏み込めないんだろう」としたうえで、「地方自治における二元代表制は、市長と市議会の間での緊張関係が必要だ。いまの札幌市は緊張感がなくなり、翼賛的な体制に陥っている」と批判した。
近年、世界ではオリパラ開催…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル