池田良、宮脇稜平
クマが人のいなくなった地域に行動範囲を広げ、川を伝って市街地に入る――。宮城県が公開しているツキノワグマの出没場所と、国勢調査による人口データを分析したところ、そんな動きが浮かび上がった。専門家から「アーバン・ベア」と呼ばれる都市型のクマによる人的被害が全国的に増える中、どうすれば共存できるのか。
仙台市青葉区のJR陸前落合駅前に広がる住宅街で9月6日夜、メスのクマが目撃された。周辺では8月以降、クマが人を襲う被害が続いていた。緊張が走ったが、街路樹に登っているのを発見され、約5時間半後に捕獲された。
宮城県では今年度、クマによる人的被害が9月時点で統計を取り始めた2001年以降で最多となる5件7人に上っている。
「動くクママップ」では、宮城県内の人口が減った地域に、クマが行動範囲を広げていく様子が分かります。人口の推移は、2010、15、20年に実施された国勢調査を使用。クマの出没場所は、宮城県が公表している2012~22年のデータをもとにしています。県のデータには詳しい住所がないものもあり、実際の出没場所とずれている場合もあります。(朝日新聞メディア研究開発センター・新妻巧朗、石井奏人)
環境省によると、日本に生息するクマによる人的被害のうち「住宅地・市街地」で発生したのは16年度の12件から20年度の28件と、2・3倍に増え、全国的な問題になっている。
背景にあるのは、クマの生息…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル