大阪市北区のクリニックで26人が犠牲になった放火殺人事件は、17日で発生から1年となりました。オフィスや飲食店が集まる街で、多くの人の心の支えとなっていたクリニック。関わりのあった人たちの表情などを取材しました。
9:15
大学特任教授「安全に避難しやすい制度が前進、と報告」
クリニックが入っていたビルは、オフィスや飲食店が集まる大阪・北新地にある。週末の17日、普段と違って出勤する人たちの姿は少ない。
霧雨が降るなか、大阪工業大学特任教授で、建築安全計画が専門の吉村英祐さん(67)は現場から少し離れた場所で、ビルに向かって手を合わせた。「『事件後、安全に避難しやすくなる制度が一歩前進しました』と報告しました」という。
事件を受け、国土交通省と総務省消防庁は16日、避難経路となる階段が一つしかない建物での「退避区画」活用を盛り込んだガイドラインをそれぞれ公表した。
吉村さんによると、小規模なビルでも、より柔軟に対策が取れるようになるという。
9:45
男性「事件、風化させたくない」
大阪府吹田市の島晃さん(67)は電動車いすで現場を訪れ、手を合わせた。この日で4回目といい、「亡くなった人への追悼の思い、事件を風化させたくないという思いで来ました」と話した。
自身は障害があり、妻は心の病で入院したことがあるという。この日、現場ではクリニックに通っていた人たちの家族の気持ちにも思いをはせた。「犠牲になった人たちは、社会復帰をめざしていた人たちだった。それを残念に思います」
10:15
会社員男性「先輩、会いに来たよ」
和歌山市の会社員男性(25)は、専門学校の先輩を事件で失った。駅から現場への道すがら、「亡くなった先輩と歩いた道やな」と思い出したという。「気持ちの整理がつかなかったので、1年という節目で足を運びました。お世話になった先輩に、『会いに来たよ』とだけ伝えました」
1年たったが、先輩の死に実感はわかないという。「いまも時間が止まったような感じです」と話した。
■初めて訪れた院長の親友「よ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル