暴力団を「反社会的集団」と位置づけた暴力団対策法の施行から今年は30年の節目だった。組員は減少の一途をたどるが、今もなお2万人以上が存在する。背景には「更生への高い壁」もあるという。やめたいがやめられない――。元暴力団員が厳しい現実を語った。
「カタギでの生活は、違う星に住むのと同じぐらい大変なことです」
数年前に暴力団員を辞めて今は解体業で働く男性はかみ締めるように、こうつぶやいた。
男性は東日本の貧しい家庭で育った。高校を中退して学歴もない。「極道で一旗あげてやろう」。18歳ごろから組事務所に出入りするようになった。
潮目が変わったのは1992年。暴対法が施行され、所属した組の上部団体が「指定暴力団」に指定された。組員は暴力団の看板を背景にした金品の要求は禁じられ、金銭的に追い込まれた。強引な商売に手を出して逮捕者も増えた。男性自身も恐喝などで何度も刑務所を経験した。
その後、暴力団を社会から締…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル