大藤道矢、太田原奈都乃
山口県阿武町が誤って入金した4630万円の大半を決済代行業者の口座に振り替えたとして、電子計算機使用詐欺罪に問われている住民の田口翔被告(24)の論告求刑公判が27日、山口地裁(小松本卓裁判官)であった。検察側は「犯行は大胆で悪質」として懲役4年6カ月を求刑した。弁護側は改めて無罪を主張した。判決は来年2月28日。
同罪は電子システムに「虚偽の情報」などを与えて不法に利益を得たとするもの。起訴状などによると、田口被告は4月8~18日、自分名義の銀行口座に町から振り込まれた4630万円のほぼ全額をオンラインカジノで使うために出金したとされる。
検察側は論告で、誤った振り込みであることを銀行に知らせず、正当な権限を装って決済代行業者への出金を依頼したことが虚偽の情報を与える行為にあたる、と主張。「高額の公金が海外のオンラインカジノ業者に流出した結果は重大」と述べた。
また、決済代行業者が町に被害回復をした経緯から「大部分が違法に消費されたまま」と指摘。町の返還要請に応じず、出金を繰り返したとして「自己中心的で、酌量の余地はない」と非難した。
弁護側は事実関係は認めた上で、虚偽情報の入力はなく、同罪は成立しないと主張。「誤入金であっても出金の権限はあった」などと反論し、無罪を訴えた。田口被告は意見陳述で「このたびは多くの人に迷惑をかけ、申し訳ありませんでした」と頭を下げた。(大藤道矢、太田原奈都乃)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル