近畿地方の40代男性が「職場でマスクを着けないことを理由に雇用を打ち切られた」などと訴え、大手通信会社の子会社(東京)に慰謝料など計約280万円の賠償や雇用契約の確認などを求めた訴訟は、大阪地裁で調停が成立した。26日付。双方によると、同社が男性に解決金を支払うことで合意した。金額などについては口外を禁止する条件があるため、明らかにできないという。
訴状によると、男性は2015年に契約社員として採用され、大阪市内のコールセンターで携帯電話の修理の受付などを担当した。
持病のアトピー性皮膚炎のため、コロナ禍でもマスクを着けられず、20年10月ごろから、口元を覆う「マウスシールド」を着けて働いた。上司からマスクの着用を求められ、医師の診断書を提出したが、21年2月の雇用契約満了時に更新されず、男性側は「一方的な解雇だ」と主張していた。
一方、同社側は「不織布以外のマスクをつけた際の影響の有無などが確認できなかった」と反論。男性にマスクを着けさせないと、「他の従業員に対する安全配慮義務に反する」などとして、請求を棄却するよう求めていた。
同社の担当者は取材に対し「今後も従業員の感染リスクを軽減し、安全確保対策を実施していく」とした。(松浦祥子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル