2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる東京都臨海部の人工島「中央防波堤」(約500ヘクタール)の帰属を大田区と江東区が争っている問題で、同島の境界を画定する訴訟の判決公判が20日、東京地裁で開かれた。古田孝夫裁判長は、同島の79・3%が江東区に、20・7%が大田区に帰属するとの判決を言い渡した。
中央防波堤は昭和48年から、都がごみの埋め立て地として造成。大田区と江東区など5区による帰属画定交渉が行われ、最終的に両区以外は帰属の主張を取り下げた。平成29年10月には仲裁に入った都が江東区に86・2%、大田区に13・8%を帰属させるとした調停案を示したが、大田区はこれを不服とし、江東区を相手取り、大田区への全島帰属を求める訴えを東京地裁に起こしていた。
大田区はこれまで、調停案について「(現在の水際線の位置を境界画定の判断基準とする)手法では、これまでに広く埋め立て地を編入してきた自治体が今後も多くの面積を編入し続けることとなり不合理」とし、埋め立て地の拡大を続ける自治体に有利であることを批判。対象地域について「江戸時代の区分線がある」として、それを根拠に全島帰属を主張してきた。
江東区も、中央防波堤埋め立て地がごみの埋め立て地であることを指摘し、同区民の負担や犠牲によって造成されてきたとして全島帰属を主張していた。
古田裁判長は判決で、境界線の基準について、行政区域として確定している現在の水際線とするのが相当であると指摘し、双方の全島帰属を認めなかった。
また、中央防波堤の利用状況などから、埠頭(ふとう)用地のほか、港湾関連用地も大田区に帰属させるのが相当としており、都の調停案よりも大田区の帰属地が多くなっている。
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