人生の岐路に立ったとき、何を大切にして、どんな道を選びますか――。働き方が多様化している時代です。定年まで一つの企業に勤め、老後は年金で生活する。そんなライフコースは一般的ではなくなりつつあります。自分は何をしたいのか。立ち止まって考えることもあるのではないでしょうか。地方への移住にも関心が高まっています。千葉で新たになりわいを見つけた人の思いや経験を通じて、人生を豊かにするヒントを探ります。
「あ、虹だ」
昨年11月下旬の日曜日。夕日に照らされ、穏やかにたたずむ海を眺めていた行木千賀(なめきちか)さん(24)がふと空を見上げ、つぶやいた。「日常にこんな小さな幸せがあるんだって、ここに来て初めて知りました」
行木さんが千葉県御宿町の地域おこし協力隊になったのは2020年9月。地元の山武市から単身、移住してきた。
当時はまだ城西国際大(東金市)の学生だった。入学当初は、周囲の誰よりも就活のことを気にしていた。先輩の体験談を聞いて回り、アドバイスを求めた。どんな仕事をしたいのか。考え尽くした結果、自分がわからなくなった。
一つの転機になったのは、大学3年の時にタイの孤児院でボランティアをした経験だった。都心部よりも、山間部の孤児院にいた子どもの方が優しい目をしていて、感情表現も素直だった。同じような境遇なのに、なぜか。「自然が人の内面をつくる」。現地の人の言葉が心に残った。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル