近藤咲子
飲酒運転による交通事故をなくそうと、千葉県警交通総務課が加害者の手記を小冊子「飲酒運転の代償」にまとめ、動画を制作した。手記は「事故の前に戻れるものなら、もう一度はじめからやり直したい」などと後悔の念をつづっている。飲酒後、安易にハンドルを握って被害者や遺族、自らの人生を一変させた罪の重さを実感できる。
八街市で2021年、飲酒運転のトラックが小学生の列に突っ込み、5人が死傷した事故を受けた根絶対策の一環で、小冊子は県警ホームページで公開。飲酒運転で人身事故を起こし、市原刑務所で服役する20~50代の会社員やトラック運転手だった男性受刑者5人の手記を掲載した。
元会社員の30代の受刑者は事故前に支店を任され、子どもを2人授かり、マイホームを建てて順風満帆の人生を歩んでいた。一方で深夜まで酒を飲み、「いつも通り運転できる」とハンドルを握ることが数回あったという。
事故を起こした日も仕事帰りに友人とテキーラなどを飲み、午前1時過ぎに車を発進させた。「裏通りなら検問をしていない」と一方通行を走行中に自転車の男性をはね、死亡させた。逮捕後に保釈されて自宅に戻ると、机の上に離婚届があった。仕事も辞め、全てを失った。
県警はこれらの手記を元に再現ドラマも動画で制作した。各約2分で県警広報県民課のYouTubeチャンネルに5本投稿した。担当者は「動画や手記を通じて加害者のその後を知り、飲酒運転の悪質性と悲惨さを理解してほしい」と話している。(近藤咲子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル