角詠之
航空会社のスカイマークは7日、義務づけられたアルコール検査を受けないまま、60代の男性整備士が酒気を帯びた状態で機体の整備にあたっていたと発表した。この整備士らは必要な整備の一部を実施しないまま記録を偽造し、担当した航空機は運航したという。国土交通省はスカイマークに対して業務改善勧告などの行政指導をし、再発防止策の報告を求めた。
国交省航空安全推進室とスカイマークによると、機体の整備責任者だった整備士は昨年12月25日、長崎空港で神戸行きの140便を担当。法令に基づく検査で、呼気1リットルあたり0・08ミリグラムのアルコール分が検出された。規程では「0・00」である必要があるという。整備士は前日夜、飲食店で生ビール1杯と焼酎お湯割り3杯を飲んでいたという。
整備士は一時、検査をしていないにもかかわらず、同僚の30代の整備士らに記録を捏造(ねつぞう)させて点検にあたった。その後、この同僚から促されて検査をしたところ、アルコール分が検出されたという。それから約35分後の再検査では問題がなかったため機体の整備に加わったが、出発時刻が迫るなか、整備士と同僚はタイヤの空気圧の計測など一部の項目で十分に確認をせずに整備記録を作成。飛行機は出発したという。
スカイマークはこの日、記者会見を開き、原高太朗・取締役執行役員らが「安全を使命とする航空会社において、アルコールにかかる事案を発生させてしまい、大変申し訳ありませんでした」と謝罪。60代の整備士を懲戒解雇処分としたほか、代表取締役社長ら役員2人が役員報酬の10%を1カ月分自主返納するとした。(角詠之)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル