フリーランスとして働く人たちの労働相談に弁護士が無料で応じる「フリーランス・トラブル110番」への相談件数が急増し、開設から2年余りで1万件を超えた。フリーランスの働き方が様々な業種に広がる一方、発注元に対する立場の弱さから報酬不払いなどのトラブルが多発。まるで「社員」のように働いているのにフリーランスとして扱われ、労働基準法で守ってもらえない「偽装フリーランス」の存在など、新たな課題も浮かんでいる。
トラブル110番は、厚生労働省から委託を受けた第二東京弁護士会が手がけ、労働問題に詳しい弁護士らがメールや電話、対面などで相談に応じている。
2020年11月に始まり、21年度の相談件数は月350件程度だった。それが22年度は月500~600件ほどに増え、昨年末までの相談件数が累計で1万541件に達した。「相談の多さは予想以上だ」と担当弁護士は驚く。
相談で最も多いのが、支払いの遅延や未払い、一方的な減額など「報酬の支払い」に関するもので、全体の32・8%を占める。次いで、契約条件が不明確だったり契約書がなかったりするといった「契約内容」に関する相談が17・3%あった。
相談者を業種別でみると、配送関係が最も多く、システム開発やデザイン関係、建設や美容関係、ライターなど多岐にわたる。年代別では、30代(28・3%)、40代(25・7%)、20代(21・5%)と続いた。
厚労省の担当者は「今まで見えていなかったフリーランスのトラブルが可視化されてきている」と話す。トラブル110番に開設時から関わってきた山田康成弁護士は、偽装フリーランスについて「今後ますます増えるおそれがある」と警告している。
トラブル110番(0120・532・110)は、土日祝日を除く午前11時半~午後7時半。相談内容に応じて、労働基準監督署や公正取引委員会などの関係機関も紹介する。(遠藤隆史)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル